
「オデュッセイア」という映画が公開されました。
監督は、あのクリストファー・ノーラン。
『インセプション』
『インターステラー』
『ダンケルク』
『TENET テネット』
『オッペンハイマー』
など、映画館から帰ってきたあとに、
「……で、結局どういうことだったんだ?」
と頭の中で反省会を開催させることで有名なノーラン監督です。
そんなノーラン監督が今回挑んだのが、なんと約2800年前から語り継がれてきた古代ギリシャの物語。
それが『オデュッセイア』です。
しかも今回は、かなり本気です。
映画史上初となる全編IMAXフィルムカメラ撮影が行われ、世界6カ国でロケーション撮影が実施されました。
もはや、
「昔の物語を映画化しました」
という規模ではありません。
「2800年前の物語を、映画館ごとタイムマシンにして体験してもらおう」
くらいの勢いです。
そもそも「オデュッセイア」って何?
まず、タイトルからして少し難しそうです。
「オデュッセイア……?」
初めて聞いた人なら、
「なんとなく難しい文学作品っぽい」
と思うかもしれません。
しかし、ざっくり言えば、
「戦争を終えた英雄が、故郷へ帰ろうとする旅の物語」
です。
主人公はオデュッセウス。
古代ギリシャの英雄です。
彼はトロイア戦争で活躍した人物として知られています。
ところが、戦争が終わったからといって、
「はい、では家に帰りましょう」
とはいきません。
そこからが大変。
故郷へ帰るまでの旅には、さまざまな試練が待ち受けています。
怪物。
神々。
魔女。
海。
誘惑。
そして、とにかく長い旅。
現代人なら、
「Googleマップは?」
と言いたくなるところですが、もちろんそんな便利なものはありません。
そもそもスマートフォンがありません。
充電もできません。
モバイルバッテリーもありません。
Wi-Fiもありません。
つまり、
「人生最大級の旅行なのに、通信環境がゼロ」
です。
これはかなり厳しい。
2800年前の「帰りたい」は、現代人にも分かる
『オデュッセイア』が面白いのは、単なる古代の冒険物語ではないところです。
物語の中心にあるのは、
「故郷へ帰りたい」
という、とてもシンプルな感情です。
これだけ聞くと、
「まあ、普通じゃない?」
と思います。
ところが、2800年前の人間も、
「家に帰りたいなあ」
と思っていた。
ここが面白いところです。
スマートフォンもない。
Netflixもない。
コンビニもない。
Amazonもない。
もちろんChatGPTもない。
それでも人間は、
「家に帰りたい」
と思っていた。
人類、意外と昔から人類です。
文明はものすごい勢いで進化しましたが、
「大切な場所に帰りたい」
という感情は、あまりアップデートされていません。
ノーラン監督が「オデュッセイア」を映画にする
そこで登場するのがクリストファー・ノーラン監督です。
ノーラン監督はこれまで、
「時間とは何か」
「記憶とは何か」
「夢とは何か」
「戦争とは何か」
といったテーマを、巨大な映像と複雑な物語で描いてきました。
そして今回は、
「帰るとは何か」
という、とても根源的なテーマに挑みます。
公式サイトでも、本作を「2800年語り継がれた英雄譚」と紹介しています。
つまり、
「昔の人が読んでいた古典を映画にしました」
というだけではありません。
古代の物語を使って、
「人間にとって帰る場所とは何なのか?」
を現代の観客に問いかける作品でもあります。
キャストが、とにかく豪華
そして、この映画。
キャストを見るだけでも、
「おお……」
となります。
主人公オデュッセウスを演じるのは、マット・デイモン。
妻ペネロペ役にアン・ハサウェイ。
息子テレマコス役にトム・ホランド。
さらにゼンデイヤ、ロバート・パティンソン、シャーリーズ・セロン、ルピタ・ニョンゴなど、豪華キャストが集結しています。
映画好きなら、
「この人も出るの?」
「え、この人も?」
となってしまうレベルです。
古代ギリシャの英雄譚なのに、キャストだけ見るとハリウッド大集合。
紀元前と現代のスターが合流しています。
そして「全編IMAX」という本気
今回の『オデュッセイア』で特に注目したいのが、映像です。
本作は長編映画史上初となる、全編IMAXフィルムカメラ撮影が行われました。
しかも世界6カ国でロケーション撮影。
つまり、
「CGでそれっぽい古代世界を作りました」
という方向だけではありません。
実際の風景や自然環境をカメラに収め、巨大なスクリーンで見せることにこだわっています。
これは『オデュッセイア』という作品との相性が非常に良さそうです。
なぜなら、この物語の舞台は、
海、島、自然、古代世界。
つまり、
「スクリーンがデカいほど嬉しい」
タイプの物語だからです。
家のテレビで見るのも映画ですが、
大きなスクリーンで見ると、
「うわ、海!」
「でかい!」
「ここどこ?」
となる可能性があります。
映画館の椅子に座っているだけなのに、こちらまで船に乗せられた気分になりそうです。
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『オデュッセイア』は「旅」の物語でもある
個人的に面白いと思うのは、
『オデュッセイア』を「旅の物語」として見ることができる
ところです。
旅というものは不思議です。
家を出るときは、
「ちょっと見てきます」
くらいの気持ちだったのに、帰ってくる頃には自分の考え方が少し変わっている。
知らない土地を見る。
知らない人に会う。
知らない文化に触れる。
そして、
「自分が当たり前だと思っていたことって、別に当たり前じゃなかったんだな」
と気づく。
これは現代の旅行でも同じです。
そして古代の英雄もまた、旅をする。
そう考えると、『オデュッセイア』は2800年前の物語なのに、意外と遠い話ではありません。
「旅」と「帰る」はセットなのかもしれない
旅行が面白いのは、
出発することと、帰ることがセットになっている
からかもしれません。
ずっと旅をしていたら、それはもう「旅」なのか「生活」なのか分からなくなります。
だからこそ、
「帰る場所」
があることで旅が成立する。
『オデュッセイア』も、そんな「帰る」というテーマを大きく扱った物語です。
そしてこれは、現代人にも結構刺さります。
仕事から帰る。
旅行から帰る。
実家に帰る。
故郷に帰る。
あるいは、
「昔の自分に戻りたい」
と思うことだってある。
人間はどうやら、
前に進みながら、どこかで帰る場所を探している生き物
なのかもしれません。
2800年前の物語が、なぜ今も残っているのか
ここには文化人類学的にも面白いポイントがあります。
人類は、何千年も前から物語を作ってきました。
英雄の物語。
恋愛の物語。
家族の物語。
戦争の物語。
旅の物語。
そして、
「どう生きるか」
という物語。
時代が変わっても、人間が考えていることには意外と共通点があります。
スマートフォンは変わりました。
車も変わりました。
働き方も変わりました。
AIまで登場しました。
ところが、
「家族って何だろう?」
「故郷って何だろう?」
「自分はどこへ向かっているんだろう?」
という問いは、まだ残っています。
人類、
技術は進化したのに、悩みは意外と昔のままです。
ネタバレなしで見るなら、予備知識は必要?
結論から言えば、
古代ギリシャ神話を全部勉強してから観る必要はありません。
もちろん、オデュッセウスやトロイア戦争について少し知っていると、より楽しめる部分はあります。
しかし、
「ギリシャ神話なんて全然知らない」
という人でも、
「家に帰りたい英雄の長い旅」
という基本だけ押さえておけば十分です。
むしろ何も知らずに映画館へ行って、
「なんだこの世界は!」
と驚く楽しみ方もあります。
古代ギリシャ神話の参考書を10冊読んでから行く必要はありません。
映画を見る前に疲れてしまいます。
『オデュッセイア』は、どんな人におすすめ?
こんな人には特に楽しめそうです。
- 壮大な冒険映画が好き
- 神話や古代文明に興味がある
- クリストファー・ノーラン作品が好き
- マット・デイモンや豪華キャストが好き
- IMAXなど大画面の映画体験が好き
- 「旅」をテーマにした物語が好き
- 古代ギリシャの文化に興味がある
- 2800年前の物語が現代映画になることに興味がある
そして、
「最近、ちょっと旅に出たい」
という人にもいいかもしれません。
映画館から出てきたら、なぜか旅行バッグを買いたくなる可能性があります。
まとめ:2800年前の「帰りたい」が、スクリーンに帰ってきた
『オデュッセイア』は、単なる古代ギリシャ神話の映画ではありません。
2800年もの間、人々に語り継がれてきた「旅」と「帰還」の物語を、クリストファー・ノーラン監督が現代の映画として描いた作品です。
全編IMAXフィルム撮影。
世界各地での大規模ロケ。
豪華キャスト。
そして、古代から続く英雄の旅。
かなり大きな映画です。
ただ、その中心にあるのは、
「大切な場所へ帰りたい」
という、とても人間らしい気持ち。
そこが、この物語が何千年も残ってきた理由なのかもしれません。
スマホもない。
GPSもない。
Google検索もない。
AIもない。
それでも人間は旅をして、
迷って、
悩んで、
そして帰ろうとする。
2800年前から、人類はだいたいそんな感じだったようです。
映画『オデュッセイア』。
壮大な神話を、現代の映画館で体験する。
そんな気持ちで観てみると、また違った楽しみ方ができそうです。
そして何より――
この記事ではネタバレしていません。
安心して映画館へどうぞ。
帰り道で「自分も旅に出たい」と思ったら、それはもうオデュッセウスの呪い……ではなく、映画の力かもしれません。