
朝からパソコンを開き、スマホを確認し、メールを返信する。
会社へ向かい、会議に参加し、またパソコンを見る。
昼休みもスマホ。
帰宅してからもスマホ。
気がつけば一日中、人工的な環境の中で暮らしています。
「そういえば、今日、空を見たっけ?」
そんな日もあるのではないでしょうか。
私たちは自然から離れて暮らしているように見えます。
でも、文化人類学の視点から人間の歴史を振り返ってみると、実は人間はずっと環境と付き合いながら生きてきた生き物でした。
今回は「環境」をテーマに、科学と文化人類学の視点から、少しだけ肩の力を抜いて考えてみたいと思います。
人間は「環境の中」で生きている
環境問題というと、
「地球温暖化」
「海洋プラスチック」
「森林破壊」
「生物多様性」
など、少し難しそうな言葉が並びます。
もちろん、どれも大切な問題です。
でも、環境という言葉をもっと身近に考えてみると、
私たちが毎日暮らしている場所そのもの
とも言えます。
部屋。
会社。
道路。
公園。
川。
海。
山。
そして、地球そのもの。
つまり環境問題は、遠い場所で起きている特別な問題ではありません。
私たちの日常そのものとつながっています。
文化人類学から見ると「当たり前」が面白い
文化人類学では、人間がどのような環境で、どのように暮らしてきたのかを考えます。
例えば、砂漠で暮らす人々と、寒冷地で暮らす人々では、住居も服装も食文化も大きく違います。
当然ですよね。
暑い場所で分厚い毛皮を着ていたら、かなり大変です。
逆に極寒の地域で、
「今日は半袖で爽やかに!」
と言っていたら、爽やかどころではありません。
つまり人間は、
環境に合わせて暮らし方や文化を変えてきた
のです。
住居、食事、衣服、仕事、移動方法。
私たちの「普通の生活」は、実は自然環境との長い付き合いの中から生まれています。
ところが現代人は、かなり特殊な環境で暮らしている
ここで少し面白いことがあります。
現代人は、自然環境からかなり離れた場所でも生活できるようになりました。
夏でもエアコン。
冬でも暖房。
夜でも電気。
遠くの国の商品もネットで注文できます。
食料も一年を通して手に入ります。
そして、スマートフォンによって世界中の情報がポケットに入っています。
人類の歴史から見ると、かなりすごいことです。
昔の人から見れば、
「なんで夜なのに部屋が明るいんだ?」
「なぜ遠くの人と話せるんだ?」
「なぜ冬なのにトマトを食べているんだ?」
と驚くかもしれません。
文明、恐るべしです。
便利になったのに、なぜ疲れるのだろう?
ここが、今回のテーマです。
私たちは昔より便利になりました。
しかし、便利になったからといって、必ずしも毎日が穏やかになるわけではありません。
むしろ、
- 常に通知が届く
- 仕事の連絡が来る
- SNSで他人と比較する
- パソコンを長時間見る
- 都市の騒音に囲まれる
- スケジュールに追われる
という生活になっています。
もちろん、便利さそのものが悪いわけではありません。
問題は、
人間が便利な環境を作る一方で、その環境に自分自身が疲れてしまうことがある
ということです。
「人間が環境を作ったら、今度は環境に人間が振り回される」
なんとも人類らしい展開です。
森に行くと、時間の流れが変わる気がする
森を歩いているとき、会社のように、
「10時から会議です」
「11時までに資料を提出してください」
とは言われません。
木はメールを送りません。
鳥も既読をつけません。
川から、
「先ほどの件ですが、確認お願いします」
というメッセージが来ることもありません。
少し冗談のようですが、これは大切なことだと思います。
自然の中にいると、私たちは普段とは違う時間感覚に触れられます。
風が吹く。
葉が揺れる。
鳥が鳴く。
雲が流れる。
人間が作った時計とは違うリズムがそこにはあります。
「環境を大切にする」は、地球だけの話ではない
環境問題について考えるとき、
「地球を守らなければならない」
と考えることがあります。
もちろん大切な視点です。
でも、もう一つ、
自分が暮らす環境を見直す
という考え方もあっていいと思います。
例えば、
今日はスマホを見る時間を少し減らす。
窓を開けて風を感じる。
近所を散歩する。
公園でベンチに座る。
休日に森や海へ行く。
植物を育てる。
部屋に自然素材を取り入れる。
こうした小さな行動も、「自分と環境との関係」を見直すきっかけになります。
環境を変えると、自分の見え方も変わる
仕事で疲れているとき、私たちは、
「自分が弱いから疲れているのかな」
と考えてしまうことがあります。
でも、文化人類学的に考えてみると、
人間は環境との関係の中で生きている
ということが見えてきます。
ずっとパソコンの前にいる。
常に通知が届く。
仕事と休日の境界がなくなる。
人間関係から逃げられない。
そんな環境に長時間いれば、疲れるのはある意味自然なことです。
だから、
「自分を変えなければ」
と考えるだけではなく、
「自分を取り巻く環境を少し変えてみよう」
と考えてみる。
これは意外と大切な発想なのかもしれません。
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「自然に戻る」のではなく、「自然との距離を調整する」
もちろん、昔の生活に完全に戻る必要はありません。
電気を捨てて山奥へ行く必要もありません。
スマートフォンを川に投げる必要もありません。
たぶん後悔します。
大切なのは、
便利な文明と自然の両方を、自分に合う形で取り入れること
ではないでしょうか。
平日は仕事をする。
必要なときはスマホを使う。
でも夜は少し画面から離れる。
休日には自然の中を歩く。
植物を眺めながらお茶を飲む。
そんな小さなバランスでもいいのです。
環境について考えることは、自分の暮らしを考えること
環境問題は、とても大きなテーマです。
地球規模の問題を考えると、
「自分一人が何をしても変わらないのでは?」
と思ってしまうこともあります。
でも、環境を考えることは、必ずしも大きな活動だけではありません。
今日どんな場所で過ごすのか。
何を食べるのか。
どんなものを買うのか。
どれくらい自然に触れるのか。
どれくらいスマホから離れるのか。
そして、
どんな環境なら、自分らしく穏やかに暮らせるのか。
そこから始めてもいいのだと思います。
おわりに
科学を学ぶと、地球環境の仕組みが見えてきます。
文化人類学を学ぶと、人間が環境とどのように付き合ってきたのかが見えてきます。
そして、その両方から考えてみると、
「環境を考えることは、人間の生き方を考えることでもある」
と気づきます。
仕事で疲れた日には、無理に前向きにならなくても大丈夫です。
パソコンを閉じて、スマホを置いて、窓の外を少し眺めてみる。
空が見えるなら空を見る。
木があるなら木を見る。
雲が流れているなら、それを眺める。
人間は何千年もの間、そうやって自然と一緒に暮らしてきました。
もしかすると私たち現代人には、
「もっと頑張ること」ではなく、「少し環境を変えること」
が必要な日もあるのかもしれません。
今日は帰り道に、いつもと違う道を歩いてみませんか?
地球は今日も、会社の都合とは関係なく回っています。
……なかなか肝が据わっています。