
「3Dプリンターって、フィギュアや小物を作る機械でしょ?」
もしそう思っているなら、建築の世界をちょっとのぞいてみてください。
なんと現在では、3Dプリンターで住宅や建築物をつくる技術が研究・実用化されています。
つまり将来、
「家を買いました!」
ではなく、
「家、プリントしました!」
という会話が普通になるかもしれません。
……プリンターの「紙切れです」というエラーが、家づくりでも発生したら大変ですが。
そもそも建築用3Dプリンターって何?
一般的な3Dプリンターは、樹脂などの材料を少しずつ積み重ねて立体物をつくります。
建築用の3Dプリンターも基本的な考え方は同じです。
ただし、プリントするものが巨大です。
小さなフィギュアではなく、
「壁」や「住宅」そのものをプリントする。
コンピューターで設計したデータをもとに、建築用の材料を何層にも積み重ねて建物の形をつくっていきます。
まさに、
「巨大な3Dプリンターで家を出力する」
という未来感あふれる技術です。
メリット① 建築の人手不足を助けるかもしれない
建築業界では、人手不足や高齢化が課題になっています。
そこで期待されているのが3Dプリンターです。
機械によって一部の作業を自動化できれば、人間の負担を減らせる可能性があります。
もちろん、
「じゃあ建設現場から人間はいらなくなるの?」
という話ではありません。
設計、施工管理、安全確認、設備工事など、人間が必要な仕事はたくさんあります。
3Dプリンターは建築家を失業させる機械というより、
「建築家の新しい相棒」
と考えたほうが面白いでしょう。
メリット② 複雑な形の建物をつくれる
3Dプリンターの面白いところは、コンピューター上で設計した複雑な形を比較的自由につくれることです。
直線だけではなく、曲線や独特なデザインにも挑戦できます。
従来の建築では、
「この形にすると施工が大変!」
という問題がありました。
しかし3Dプリンターなら、これまでとは違った発想の建築が可能になるかもしれません。
将来の建物が、
「なんでこんな形なの?」
と思わずツッコミたくなるデザインばかりになったら、それはそれで面白そうです。
メリット③ 廃棄物を減らせる可能性
建築では、多くの材料を使います。
当然、加工すると余った材料が出ることもあります。
3Dプリンターでは、必要な場所に必要な量だけ材料を積み重ねることで、材料の無駄を減らせる可能性があります。
これは環境問題を考えるうえでも重要です。
SDGsやサステナブル建築に興味がある学生にとって、3Dプリンターは非常に面白い研究テーマになるでしょう。
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では、3Dプリンターだけで家が完成する?
ここは注意が必要です。
「3Dプリンターで住宅をつくる」といっても、家のすべてをプリントするわけではありません。
電気、水道、窓、ドア、設備など、人間が施工する部分もあります。
つまり、
3Dプリンター=家をボタン一つで完成させる魔法の機械
ではありません。
建築はそんなに甘くないのです。
「プリント開始!」
↓
「家が完成しました!」
↓
「電気がありません」
……では住めません。
建築を学ぶ学生にとって何が面白いのか?
3Dプリンターの登場によって、建築家の仕事そのものも変わる可能性があります。
これまでの建築では、
「どうやって建てるか」
を考えることが重要でした。
これからは、
「デジタルデータをどうやって現実の建築物に変えるか」
という発想がさらに重要になるでしょう。
そのため建築だけでなく、
- 3DCAD
- プログラミング
- AI
- デジタルファブリケーション
- 環境工学
- 材料工学
など、さまざまな分野との融合が進んでいきます。
建築学生なのにプログラミングを勉強する。
プログラマーなのに建築を学ぶ。
そんな「専門分野の越境」が当たり前になるかもしれません。
そして、建築は「文化」でもある
ここが実は、3Dプリンター建築を考えるうえで非常に面白いところです。
建物は単なる「雨風を防ぐ箱」ではありません。
日本には畳や障子、縁側があります。
ヨーロッパには石造りの街並みがあります。
中東には暑さを避けるための独特な建築があります。
つまり建築には、その土地の気候・歴史・宗教・生活習慣・価値観が反映されています。
3Dプリンターによって世界中で同じような家が簡単につくれるようになったら、私たちの「住む」という文化はどう変わるのでしょうか?
これは建築学だけでなく、文化人類学にとっても非常に興味深いテーマです。
まとめ
3Dプリンターによる建築は、単に「家を機械でつくる」という話ではありません。
そこには、
人手不足、環境問題、デジタル技術、AI、建築デザイン、そして人間の暮らし
というさまざまなテーマが詰まっています。
そして何より面白いのは、
「家とは何なのか?」
という根本的な問いまで考えられることです。
昔の人は木や石で家をつくりました。
現代人はコンクリートや鉄を使います。
そして未来の人間は、デジタルデータから家を「出力」するのかもしれません。
そう考えると、3Dプリンターは単なる便利な機械ではありません。
「人間はどんな場所で、どんな暮らしをしたいのか」
を考えるための、新しい道具なのです。
そして未来の学生のみなさん。
「卒業制作、何を作ろう……」
と悩んでいるなら、
「とりあえず家をプリントしてみる」
という選択肢も……あるかもしれません。