外国で何が美味しかった?
よく聞かれる質問。
申し訳ないが、全部美味かったので、質問者の顔色を伺いながら、
適当に答えてました、すみません。。。。
旅のあと、いろんな記憶を辿っているうち、かならず最初に思い出す味がある。
へんだな、ほかにもいろいろ食べたのに。
オシャレなお店なんかも立ち寄ったりして、
セレブが食べるような料理もこの舌で味わってきたはずなのに。
時には、屋台で砂埃にまみれたロールパンとか食べてきたのに。
それは、フランス、パリでの出来事
なぜか、先頭を切って旅の記憶の中から浮上する。
フランスでもっとも美しい中世ゴシック様式建築として知られるシャトル大聖堂のすぐ隣にあった。
フランス語でまったく理解できなかった。
さらに、残念なことに僕の胃の持ち合わせはひとつしかない。
パリの旅は常に欲望との戦いだった。
バケット一切れ、
安い赤ワイン1本、
チーズ一個がなぜこんな深い充足を満たすものか。
パリに着いて最初に食べたものは・・・
ステック・フリットだった。
ヴァンドーム広場の脇、
超満員の客でごった返すレトロな「ル・プティ・ヴァンドーム」。
焼きたてのステーキリブロースは、
噛むたびに肉汁がじゅわっと迸る危険な味だ。
肉を切って、赤ワインをグビッと流し込むあの感覚は、
一度覚えると癖になる。
僕は肉より野菜派
外国へ行くと、とにかく肉が多い。
だが、完全に日本食で育ってきた僕の胃袋に、肉での生活は体に黄信号をあらわしはじめた。
気付いたら、惣菜屋へ飛び込み、
「キャロット・ラぺ」を手に持っていた。
おろし金で切った人参を酢や油で加えただけの、
定番中の定番おかずです。
人参を噛みしめ、
噛みしめ、
また噛みしめる。
ホテルのベッドで、他のバックパッカーにウサギ扱いされても、
この酸っぱさが旅の疲れを癒しほっとさせられる。
僕はそんな素朴で普通の味が一番好きだ。