Sibylle House滞在2日目
あーだ、こーだとオーナーのクロームさんと言い合ってた宿代の交渉が笑い話のように脳裏に蘇る。
今までの肉体的、精神的疲れを癒す為、寝心地の良いベッドで寝ていた僕だが。
扉を叩くノックの音がする。
コンコン、コンコン。
「グッモーニン。ケータ」
朝飯だった。
小さなお盆に、昨日も食べたナンとカレーの盛り合わせ。
もちろん手で食べる。
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窓を開けると、スーッと涼しい風が頬に突き刺さり、眠かった目が冴える。
インドは暑いっていう、個人的な思い込みがあるけれど、梅雨が明けた日本の夏のように朝晩は涼しいんだ。
お馴染みバイクへの勧誘
もはや、東南アジアでの勧誘で当たり前のようになってきたバイク勧誘。
オーナーのクロームさんが執拗に誘って来る。
確かにブッダガヤの名所をまだ巡っていない場所はあるが、以前ラマさんからもバイクで案内してもらったからいいよって言って、断った。
何度、このやり取りをしたことだろう。
すごく優しくて、勧誘してくる有難さもすごく伝わってくる。
僕がヒンドゥー語を話せなくて、クロームさんも日本語を話せないから、わざわざ日本語の通訳ができる友人と電話でやり取りしながら、勧誘してくれた。
結局いかなかったのだが、この一連のやり取りのおかげで僕はクロームさんの家族と仲を深めることとなる。
一緒にアイス食べたり。
子供たちと写真撮ったり。
縄跳びしたり。
楽しかった。現地の言葉が話せたら、どれだけ仲良くなれたことだろうか。
その夜、インドに来て初めての停電に遭遇した。
こどもたちは無邪気に笑っていて、停電の方がお祭りみたいで楽しそうだ(^^)
スマホは閲覧できるから、僕の旅した様子や家族の写真を見せた。
「今度は俺を日本に案内してくれよ。」
そう言ってくれたクロームさんの言葉は今でも忘れない。
僕はわずかな月明かりを頼りに、折り紙を折り始めた。
翌朝、出発の時が来た。
ブッダガヤからの次の目的地は「アーグラ」だった。
電車を利用する為、駅に向かうよとクロームさんに伝えた。
すると、「車で送っていく!!」って言われたけど、僕はまだインド人を心の底から信頼できてはいなかった。
なんで、断ってしまったのか。
今思えば、心が締め付けられるほど後悔している。
クロームさんの瞳は涙でゆがんで見えた。
「もう少しで家の前にスクールバスが通る。それに乗りなさい。」
小さな涙を零しながら、背中を押してバスに僕と荷物を詰め込んだ。
別れ際、窓から折り紙を渡し、クロームさんに感謝の気持ちを伝えた。
「ありがとう、今度は日本で逢おう。」