「ベトナムドン(VND)と暗号資産にどんな関係があるの?」
一見すると無関係に思えますが、実は東南アジア、とくにベトナムでは暗号資産(仮想通貨)の普及率が世界トップクラスと言われています。その背景には、法定通貨であるベトナムドンの「価値の不安定さ」や「投資先の選択肢の少なさ」が深く関係しています。
この記事では、
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ベトナムドンの特徴と課題
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ベトナムで暗号資産が普及している理由
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ベトナム政府の規制方針と今後の展望
をわかりやすく解説します。
ベトナムドンとは?超ゼロ多め通貨の実態
ベトナムの法定通貨「ベトナムドン(VND)」は、世界でもトップクラスの“桁数が多い通貨”として知られています。
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1円 ≒ 160〜170 VND(※為替レートにより変動)
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1万円 ≒ 160万VND以上
日常的に「100,000」「500,000」といった紙幣が飛び交うため、外国人旅行者は桁数に混乱しがちです。
さらに、ベトナムは過去に高インフレを経験しており、通貨の購買力が徐々に目減りする不安を多くの国民が抱えています。
なぜベトナムで暗号資産が人気なのか?
世界的な調査機関「Chainalysis」のレポートによると、ベトナムは数年連続で暗号資産普及率ランキング1位の常連です。その理由は以下の通りです。
✅ 貯金していても増えない → 「資産を守る」手段としての仮想通貨
銀行の金利は上昇傾向にあるものの、依然としてインフレリスクを完全にカバーできていません。そのため、若年層を中心に「BTC(ビットコイン)やUSDT(ステーブルコイン)で資産を保管する」動きが広がっています。
✅ 投資先が限られている
日本のように株や投資信託が一般的ではないベトナムでは、暗号資産が最も身近な投資手段となっています。
✅ P2E(Play to Earn)やNFTゲームの盛り上がり
Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)というNFTゲームを開発したSky Mavis社はベトナム発の企業です。ゲームを通じて仮想通貨を稼ぐ文化が若者の間で定着しています。
ベトナム政府の規制状況は?合法?違法?
現時点で、ベトナムでは暗号資産は「支払い手段」としては使用禁止とされています。ただし、
「投資・保有に対する明確な禁止はされていない」
というグレーゾーンの状態です。
政府はブロックチェーン産業自体には前向きであり、国営のデジタル通貨(CBDC)構想も検討中だと報じられています。
ベトナムドンと暗号資産の未来
ベトナムでは「ベトナムドン=日常の決済」「暗号資産=資産保全・投資」のように、用途が自然に分かれつつあります。
今後は以下のような流れが予想されます。
今 → 近い未来 | 想定される動き |
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ドンで給与 → USDTで貯金 | 若者の間では既に定着 |
銀行送金 → ブロックチェーン送金 | 海外出稼ぎ労働者などで加速 |
非公式投資 → 政府公認取引所の誕生 | 法整備次第で一気に進む可能性 |
まとめ:高インフレ通貨と暗号資産は相性が良い
日本では「仮想通貨=投機」というイメージが強いですが、ベトナムでは**「資産を守る手段」**として生活の一部になり始めています。
ベトナムドンがまだ完全に安定していないからこそ、暗号資産がチャンスとして広がっている――これが両者の大きな関係性です。
今後、ベトナムが国家としてブロックチェーンをどう取り入れていくのか、引き続き注目していきたいところです。