「働く」って、実はかなり不思議です
朝起きる。
服を着る。
満員電車に乗る。
会社に行く。
パソコンを開く。
「おはようございます!」
そして夕方になると、
「お疲れさまでした!」
と言って帰る。
……冷静に考えると、なかなか不思議な儀式ですよね。
なぜ私たちは毎日会社に行くのでしょう?
なぜ「定時」という時間があるのでしょう?
なぜ上司には「お疲れさまです」と言うのでしょう?
そして、なぜ月曜日になると少し憂うつになるのでしょうか。
実は、こうした「働き方」も文化の一部として見ることができます。
そこで今回は、文化人類学の視点から「仕事とは何なのか?」を考えてみましょう。
文化人類学で見ると「仕事」はもっと面白い
文化人類学は、人間の暮らしや文化を観察する学問です。
食事、結婚、宗教、家族、祭りなど、私たちの日常にあるものを研究します。
そして当然、
「人間はどうやって働いているのか?」
も重要なテーマになります。
ここで面白いのは、
働き方は、世界中どこでも同じではない
ということです。
「朝9時に出社して、夕方5時に退社する」
という働き方が、人類にとって当たり前だったわけではありません。
むしろ、これは歴史的に見るとかなり新しいスタイルです。
昔の人は「会社」に行っていなかった
現代では、
「どこの会社で働いていますか?」
という質問が普通にあります。
しかし、人類の歴史をものすごく長いスパンで見ると、会社員という働き方はかなり新しい存在です。
狩猟採集社会では、森や草原などで食料を探します。
農耕社会では、畑を耕します。
職人は技術を使って物を作ります。
商人は商品を運び、売買します。
つまり昔の人に、
「月曜日の朝、会社行きたくないなあ……」
と言っても、
「会社って何?」
となる可能性があります。
そもそも会社がありません。
現代人、かなり特殊な生き物です。
「仕事」と「生活」は昔から分かれていた?
現代では、
仕事=職場
生活=家
と分けて考えることがあります。
ところが、昔の社会では必ずしもそうではありません。
農家なら、
家の近くに畑がある。
職人なら、
家で商品を作る。
商人なら、
家族も商売に関わる。
つまり、
生活と仕事が一体になっている
ケースも多かったのです。
現在では「ワーク・ライフ・バランス」という言葉がありますが、
昔の人からすると、
「いやいや、そもそもワークとライフを分けてないよ?」
という話になるかもしれません。
世界を見ると「働く時間」も違う
日本では、
「朝から夕方まで働く」
というスタイルが比較的一般的です。
しかし、世界にはさまざまな働き方があります。
気候、産業、宗教、家族構成、地域社会などによって、仕事の時間や方法は変わります。
例えば、暑い地域では日中の暑い時間帯を避ける生活スタイルが発達することがあります。
逆に、寒冷地では季節によって仕事の内容が大きく変わることもあります。
つまり、
働き方は「その土地でどう生きるか」という問題ともつながっている
のです。
「仕事ができる人」の基準も文化によって違う
ここはかなり面白いところです。
私たちは、
「仕事ができる人」
と聞くと、
- テキパキしている
- 時間を守る
- コミュニケーション能力が高い
- 効率がいい
- 成果を出す
といったイメージを持つかもしれません。
でも、これらが世界共通の「仕事のできる人」の条件とは限りません。
ある社会では、
個人の成果より、仲間との協力
が重視されるかもしれません。
別の社会では、
年長者への敬意や人間関係
が重要になるかもしれません。
つまり、
「仕事ができる」
という評価そのものにも文化が影響しているのです。
「会議で発言する人=優秀」とは限らない
例えば会社の会議。
積極的に発言する人を見ると、
「この人は仕事ができそう!」
と思うことがあります。
でも、別の文化では、
「人の話をじっくり聞くこと」
や
「場の空気を読むこと」
が評価されるかもしれません。
つまり、
沈黙=能力がない
とは限りません。
逆に、
よくしゃべる=能力が高い
とも限りません。
人間社会、なかなか複雑です。
「正社員じゃないとダメ」という考え方も文化
日本では長い間、
「正社員として会社に勤める」
ことが安定した人生のモデルとして考えられてきました。
もちろん現在も重要な選択肢です。
一方で、インターネットやAI、クラウドサービスなどの発達によって、
- フリーランス
- 副業
- リモートワーク
- 個人事業
- オンラインビジネス
- クリエイター
など、働き方の選択肢は増えています。
ここで大切なのは、
「正解の働き方が1つある」と思わないこと
です。
AI時代には「働く場所」まで変わってきた
さらに面白いのがAIです。
以前なら、
「仕事をするためには会社に行く」
という考え方が強くありました。
しかし現在は、
パソコンとインターネットがあればできる仕事も増えています。
文章を書く。
翻訳する。
デザインする。
プログラムを書く。
資料を作る。
情報を調べる。
そしてAIを使って仕事を効率化する。
もしかすると将来、
「昔の人は毎日会社という場所に集まって仕事をしていたらしいよ」
なんて言われる日が来るかもしれません。
未来の子ども:
「えっ、全員同じ建物に行ってたの?」
私たち:
「そうだよ」
未来の子ども:
「……なんで?」
私たち:
「それは……歴史というものだよ」
となるかもしれません。
文化人類学が教えてくれる「働き方」の大切な視点
文化人類学的に働き方を見ると、
「どの仕事が正しいか?」
ではなく、
「なぜ私たちは、この働き方を当たり前だと思っているのか?」
という問いが生まれます。
これは非常に大切な視点です。
例えば、
「毎日会社に行かなければならない」
「40代なら管理職になるべき」
「高収入の仕事ほど良い仕事」
「正社員が一番安定している」
こうした考え方も、絶対的な自然法則ではありません。
社会や時代によって変わっていくものです。
月額16,280円で生成AIを好きなだけ学べる!「DMM 生成AI CAMP 学び放題」
![]()
「自分に合った働き方」を考えてみよう
もちろん、文化人類学を知ったからといって、
「明日から会社を辞めましょう!」
という話ではありません。
仕事には生活があります。
収入があります。
家族があります。
責任もあります。
だからこそ、
「自分にとって働くとは何なのか?」
を考えてみることが大切です。
例えば、
- お金を得るため?
- 人と関わるため?
- 社会に貢献するため?
- 自分の能力を使うため?
- 好きなことを追求するため?
- 安定した生活を作るため?
人によって答えは違います。
そして、その答えは人生の途中で変わってもいいのです。
働き方に「絶対の正解」はない
文化人類学から世界を見ると、
「自分たちの普通」が、実は世界では普通ではないことに気づきます。
これは働き方にも当てはまります。
会社員もいい。
フリーランスもいい。
農業もいい。
職人もいい。
オンラインで働くのもいい。
複数の仕事を組み合わせてもいい。
大切なのは、
「世間ではこうするもの」だけで決めないこと。
自分がどんな暮らしをしたいのか。
どんな人たちと関わりたいのか。
どんな時間を過ごしたいのか。
そこから逆算して働き方を考えてもいいのです。
まとめ|仕事を見ると、人間社会が見えてくる
「働く」という行為は、単にお金を稼ぐだけではありません。
そこには、
- 家族
- 社会
- 文化
- 歴史
- 地域
- 技術
- 価値観
など、さまざまなものが関係しています。
だから「働き方」を考えることは、
「自分はどんな社会で、どんな人生を送りたいのか?」
を考えることでもあります。
次に会社へ向かうとき、少しだけ周りを見てみてください。
「みんな同じ時間に電車に乗っているな」
「みんなスマホを見ているな」
「会社という場所に集まって仕事をしているな」
……なんだか巨大な人類観察フィールドワークに見えてきませんか?
そう考えると、月曜日の朝もほんの少しだけ面白くなるかもしれません。
今日の「知の旅」ワンポイント
働き方は、個人の能力だけで決まるものではありません。
その社会の文化や歴史、価値観によって形づくられています。
「自分に合った働き方」を探すときは、
「みんながどう働いているか」だけではなく、
「自分はどんな暮らしをしたいのか?」
から考えてみる。
それも、文化人類学的な「働き方の見方」のひとつです。
