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スマホを使っていない国はある?世界の暮らしを文化人類学から考えてみた

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スマホを使っていない国はあるのかを世界の暮らしから考えるイメージ

「スマホを持っていない人って、まだいるの?」

日本で暮らしていると、そんな疑問が浮かぶことがあります。

朝起きたらスマホ。

天気を見るのもスマホ。

電車の時間を調べるのもスマホ。

地図を見るのもスマホ。

買い物をするのもスマホ。

そして夜、

「今日はスマホを見すぎたな……」

と思いながら、またスマホを見る。

もはやスマホは「便利な道具」というより、生活の一部です。

では世界に目を向けるとどうでしょう?

「国民がほとんどスマホを使っていない国」は存在するのでしょうか?

答えから言うと、

「スマホをまったく使っていない国」を見つけるのは、かなり難しい。

しかし一方で、

スマホを持たない人や、あえてスマホを制限するコミュニティは世界に存在します。

ここからが、文化人類学的に面白いところです。


世界の8割以上が携帯電話を持っている

まず世界全体を見てみましょう。

ITU(国際電気通信連合)の最新統計では、2025年時点で10歳以上の世界人口の82%が携帯電話を所有しています。

つまり、世界の大多数の人にとって、携帯電話はすでに身近な道具です。

ただし、ここで注意したいことがあります。

この「携帯電話」には、

  • スマートフォン
  • フィーチャーフォン
  • 通話中心の携帯電話

などが含まれます。

つまり、

「携帯電話を持っている人=スマホを持っている人」

ではありません。

それでも、スマホを含むモバイル端末が世界中に広がっていることは間違いありません。

さらに2024年には、世界人口の68%、約55億人がインターネットを利用していました。

一方で、約26億人はまだインターネットを利用していません。

つまり、

「世界中がスマホ漬け」というわけではない。

しかし、

「スマホをまったく使わない国」があるわけでもない。

この中間が、現在の世界です。


では、スマホをほとんど使わない国は?

ここで候補として名前が出てきやすい国があります。

それが、

北朝鮮

です。

「インターネットが自由に使えないなら、スマホもないのでは?」

と思うかもしれません。

ところが、実際にはまったく違います。

北朝鮮ではスマートフォン市場が拡大しており、2026年には少なくとも24の国内ブランドが競争していると、38 Northが報じています。

スマートフォンが医療品の配達や配給クーポンなど、一部の行政サービスにも利用されるようになっているとされています。

2025年時点でも、北朝鮮には約731万件の携帯電話接続があり、人口の約29.6%に相当すると推計されています。

つまり、

「北朝鮮=スマホのない国」ではありません。

むしろ、

「スマホはある。でも、私たちが知っているスマホ文化とはかなり違う」

と考えたほうが近いでしょう。


北朝鮮のスマホは「世界とつながる道具」ではない?

ここが非常に興味深いところです。

日本ではスマホを使えば、

Googleで検索できます。

YouTubeも見られます。

Instagramも使えます。

海外のニュースも読めます。

世界中の人と連絡できます。

ところが北朝鮮では、一般市民が世界的なインターネットへ自由にアクセスすることはできません。

国内向けの制限されたネットワークが中心です。

2026年のWashington Postの報道でも、北朝鮮ではスマートフォンが広がる一方、一般市民は世界のインターネットにはアクセスできず、端末は厳しく制限された国内イントラネットの中で使われているとされています。

これは非常に面白い現象です。

同じ「スマートフォン」なのに、

日本:

世界とつながる道具

北朝鮮:

国内の情報・サービスを利用する道具

となる。

つまり、

技術そのものよりも、その技術を取り巻く文化や制度が重要

なのです。

これこそ文化人類学が面白いところです。


「スマホを使わない人々」は存在する

では国ではなく、コミュニティに目を向けてみましょう。

有名なのが、

アーミッシュ

です。

アーミッシュはアメリカなどで暮らすキリスト教系のコミュニティで、近代的な技術の利用を制限することで知られています。

「アーミッシュ=スマホ完全禁止」

と思っている人も多いかもしれません。

ところが、これも実際にはそんなに単純ではありません。

アーミッシュのコミュニティによって、電話やスマートフォンに対するルールは異なります。

ビジネスのために電話を利用したり、スマートフォンにアクセスしたりする人もいます。

一方で、スマートフォンを認めないコミュニティも存在します。

さらに、一部の保守的なアーミッシュでは、個人用電話だけでなく共同電話も持たないケースが紹介されています。

つまり、

「アーミッシュはスマホを使わない」

というより、

「どの技術を、どの程度、どんな目的で使うのかを共同体の価値観によって決めている」

と考えるほうが正確です。


スマホを使わない=遅れている?

ここで、ちょっと立ち止まってみましょう。

スマホを使わない人を見ると、

「不便そう」

「時代遅れなのでは?」

と思ってしまうことがあります。

しかし文化人類学的には、少し違った見方ができます。

例えば、

「スマホがないから不便」

という考え方は、

スマホがあることを前提とした社会に住んでいる人の価値観

でもあります。

逆に、

「スマホがないから自由」

と考える人もいるかもしれません。

通知が来ない。

SNSを見ない。

他人と比較しない。

常に連絡を取らなくてもいい。

暇な時間がある。

人と直接話す。

本を読む。

外を歩く。

つまり、

「便利」と「幸福」は必ずしも同じではありません。


そもそも「便利」とは何なのか?

例えば日本では、

「スマホがないと困る」

という場面が増えています。

QRコード決済。

電子チケット。

地図。

銀行アプリ。

ネット予約。

本人確認。

SNS。

仕事の連絡。

スマホは単なる通信機器ではなく、

生活インフラ

になりつつあります。

だからスマホを持たない人は、

「スマホを使いたくない人」

というより、

「スマホを持たないと生活しにくい社会の中で、あえて距離を置いている人」

なのかもしれません。

ここには、現代社会の面白い矛盾があります。

私たちは、

「便利になった!」

と言いながら、

その便利さを維持するために、

スマホを充電し、

アプリを更新し、

パスワードを管理し、

通知を確認し、

OSをアップデートし、

新しい端末を買う。

……

あれ?

便利になったはずなのに、やること増えてない?


世界には「スマホを持てない人」もいる

そしてもう一つ重要なのが、

「使わない」と「使えない」は違う

ということです。

スマホを持たない理由は、

「嫌いだから」

だけではありません。

価格。

通信環境。

電気。

都市と農村の格差。

教育。

性別による格差。

年齢。

社会的な立場。

こうしたさまざまな要因があります。

世界銀行のGlobal Findex 2025でも、携帯電話の所有率には所得や農村・都市、性別などによる格差があることが示されています。特に携帯電話所有率が65%未満の経済圏には、サハラ以南アフリカの国々が多く含まれています。

つまり、

「スマホを持たない生活」は、必ずしも文化的な選択ではない。

経済的な理由によって持てない人もいます。

ここを一緒にしてしまうと、世界の暮らしを誤解してしまいます。

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スマホを使わない暮らしは「昔の生活」なのか?

ここも面白いところです。

スマホを使わない生活を見ると、

「昔ながらの暮らし」

と考えたくなります。

しかし、それも少し違います。

例えばアーミッシュの人々も、単純に「昔の生活」を再現しているわけではありません。

現代社会の中で暮らしながら、

何を取り入れ、何を取り入れないか

を選択しています。

これは文化人類学的に非常に重要です。

文化とは、

「昔から続いているもの」

だけではありません。

新しい技術をどう受け入れるか。

何を拒否するか。

何を自分たちの価値観に合わせて変えるか。

これも文化です。


実は「スマホを使うこと」も文化である

私たちはスマホを当たり前のものとして使っています。

しかし少し考えてみると、不思議です。

朝起きる。

スマホを見る。

食事中にスマホを見る。

電車でスマホを見る。

友達といるときもスマホを見る。

寝る前にスマホを見る。

これは人間の生物学的な本能ではありません。

現代社会で身についた生活習慣です。

50年前の人間には、

「寝る前にスマホを30分見る」

という習慣そのものが存在しませんでした。

100年前にもありません。

1000年前にもありません。

10000年前には、

もちろんありません。

人間の脳は大きく変わっていないのに、

人間を取り巻く「文化」は猛烈なスピードで変化しています。

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スマホは「世界をつなげた」のか?

スマートフォンによって、世界は確かにつながりました。

海外のニュースを見る。

外国人と話す。

Google Mapsで世界を見る。

翻訳する。

外国語を学ぶ。

海外旅行を予約する。

遠く離れた家族と話す。

これは人類史的に見ても、とんでもない変化です。

一方で、

「世界中の人とつながれるのに、隣にいる人とは話していない」

という奇妙な現象も起きています。

世界中の情報を知っているのに、

近所の人の名前は知らない。

海外の観光地には詳しいのに、

自分の町の歴史は知らない。

SNSでは世界中の人と交流しているのに、

目の前の人との会話はスマホで中断される。

なんとも人間らしい矛盾です。


「スマホのない国」を探すより面白い問い

ここまで見てくると、

「スマホを使っていない国はあるのか?」

という最初の疑問への答えが見えてきます。

国全体としてスマホをまったく使っていない国を挙げるのは難しい。

世界の多くの国で携帯電話は普及しており、スマートフォンも広がっています。

北朝鮮のようにインターネット利用を厳しく制限している国でも、スマートフォンそのものは普及しています。

一方で、

  • スマホを持たない人
  • スマホを使えない人
  • スマホを意図的に制限する人
  • コミュニティとして技術利用を制限する人

は存在します。

だから本当に面白い問いは、

「スマホを使わない国はどこ?」

ではないのかもしれません。

むしろ、

「人間はなぜ、この技術を使うことを選んだのか?」

そして、

「どこまで使えば、便利さが幸福に変わるのか?」

です。

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まとめ:スマホを使わない暮らしは「遅れ」ではなく「選択」かもしれない

世界を見渡すと、

「全員がスマホを使っている」

わけでもありません。

しかし、

「スマホをまったく使っていない国」

も、ほぼ存在しません。

重要なのは、

スマホを持っているかどうかではなく、その社会がスマホをどのように位置づけているか

です。

ある社会では、

スマホ=仕事に必要な道具。

別の社会では、

スマホ=家族と連絡するための道具。

また別の社会では、

スマホ=情報を管理するための道具。

そして、

スマホ=できれば距離を置きたいもの、

という人もいます。

同じ人類なのに、技術との付き合い方はこんなにも違う。

これが世界の暮らしの面白さです。

そして最後に、日本に住む私たち自身にも問いかけてみたい。

スマホを持っている。

スマホを使っている。

スマホが便利。

……これは本当に、

「自分が選んでいる」のだろうか?

それとも、

「スマホが必要な社会に暮らしている」

だけなのだろうか。

今日もスマホでこの記事を読んでいるあなた。

ここまで読んだら、一度だけ画面を閉じてみるのもいいかもしれません。

……と言っているこの記事自体が、

スマホで読まれている可能性が高い。

人類、なかなか手強い。

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