振り返れば、人生に悩んでいた。
やりたいことも見つからず、
好きな異性も具体的に思い描けず、
将来設計なんて考える余裕もなかった。
しかし、その葛藤は、世間一般的なことだったように思う。
会社勤めをはじめれば、誰でも遭遇する類のものだ。
そのまま勤めていれば、いつの間にか薄まっていく悩みだったような気もする。
今でも思う。
そのまま同じ仕事を続けていた方が幸せだったのかなって。
その時代が、新型コロナウィルスでなかったことだけが唯一の救いだった。
旅という誰も知らない場所へ逃げ込む場所が僕の選択肢だった。
僕は計画的な人生を歩むタイプではない。
どんなに計画を練っても、人生はそんなに単純なものではなく、
思い通りにはいかないことも知っていた。
旅に出ると、実際は退屈な時間が多い。
ベッドが起き上がり、「さて今日は何をしようかな」そんな考えから一日が始まる。
でも、心の空白をどのように埋めようか、そんなことを考えている余裕は正直無かった。
緊張や戸惑いから解放されたのは、いつからだったろうか。
緊張も薄れ、うまい飯屋を探し、夜はどうすれば蚊を防ぐことができるか試行錯誤を繰り返していた。
実は以外にも忙しい。
知らない国をひとりで歩く。
その国の言葉や文化、風習も知らない中で、旅を続ける。
心の大半を占めているのは、
「どうやってバスの切符を買うのか」
「快適な安宿はどこにあるのか」
そんなことばかりだった。
一軒のゲストハウスを探すのに何時間もかかって日が暮れたこともあった。
通りすがりの様々な人に聞いていくが、いろんな答えが返ってくる。
果たしてだれを信じてどう行動すればいいのか。
どの道を進めばゲストハウスに辿りつくことができるのか。
僕の頭の中は常に決断を強いられていた。
そのひとつひとつのノルマをこなしていくだけで、脳細胞はいっぱいになった。
と、こんな話を知人に話しても伝わるはずはなかった。
ひとりの世界だ。
でも、これでよかった。
その時間は尊かったから。
あの旅に答えは無く、後悔もなかった。
ただひとつだけ言えることがある。
世界は自分の足で歩いてみなければわからない。
あなたも言葉で誰かに伝えてみませんか?
2021年5月よりGoogle評価指標に加わる「Core Web Vitals」に完全対応しています。『BEAU』おすすめです!!