春の陽気な、とある平日。
気が付いたら僕はsnowpeakというキャンプ場で立ちすくんでいた。
ちょうど近くでスパを建設中で、以前土木の現場監督をしていた頃を思い返す。
退職してから10年か。月日が経つのは早いものだ。
思い返せば何社の面接を受けたことだろうか?
自分がやりたいことの未来もうまく描くことができず、
社会から不適合の烙印を押され、生きる希望すら失っていた。
単調な仕事に飽きて、
休日も仕事のことで悩み、
あらゆる雑務や重大な責任からも逃げていた気がする。
僕はどうしようもない人間だ。
時には面接を受けて、すぐに辞退の申し入れをしたこともあった。
すごく申し訳なかったが自分のやる気が一気に消失してしまったのだ。
人はちょっとした小さなきっかけで急にやる気が湧いてくる不思議な生き物だ。それが永遠に続けば悩む必要もないのだろうが、やる気は必ず持続しない。一度逃げると人は逃げ癖が身に付くと以前どこかで聞いたことがある。
まさに紛れもない今の自分だ。
「そうだ、僕は病気なんだ。」
そう思ってしまえば気楽ではあるが逃げたような感じがしていつも後味が悪い夢ばかり見ていた。
今までの社会人時代を振り返ると僕は仕事に対してかなり適当に取り組んでいた気がする。そもそも仕事ということ自体をうまく認識できていない。
会社の為に命を削ることは僕にはできなかった。
だが、その結果が今の自分なのかもしれない。
新型コロナウィルスの影響により僕は家の中に引きこもる日々が続いている。
次は何をしようかというワクワク感も最初はあったのだが、今では自堕落な日々を送る毎日だ。
これは良くないな。。
そう思い、近くの袴腰山へ軽いハイキングをしに行った。
袴腰山といのうのは三条市旧下田村にある標高500mほどの小さな山だ。
5月の中旬から下旬にかけてヒメサユリというピンク色の綺麗な花が群生している。ヒメサユリが見頃になるとヒメサユリ祭りが開催されて駐車場は連日、満車となるほどの盛大さだ。
当然、今は平日の日中でヒメサユリも見頃ではないので山を登る人はほとんどいない。さらに熊やイノシシといった猛獣と出くわしたいという変人でなければ用が無い山だ。
だが、広い駐車場にはシルバーの軽トラが一台駐車されていた。
とりあえず登山靴に履き替え、勇み足で登り始めた。
やはり自然の中を歩くのは気持ちがいい
僕はこのブログで何度も言っているが緑は人を和やかにしてくれる魔法の力を持っている。騙されたと思って自然がある場所へ一度足を運んでみてほしい。たくさんのマイナスイオンが得られて頭も体もリフレッシュできる。
いつも山登りやキャンプを企画する立場だったので
ひとりで歩くのはかなり新鮮だ。
熊やイノシシが出てこないか腰を低くしながら静かに足を進める。
途中、ざわざわと音がするがこれは風の音だった。
どうやらそう簡単に獣はでてきそうになさそうだ。
ひとりだけすれ違った方がいたが、その人は風貌からトレイルランナーだと気付いた。トレイルランナーとは山を走って楽しむ人のことだ。
ちょうど数日後にMT.AWA SKYRACE2021が開催を控えているのでその練習だろうか。
1時間ほど経過したころだろうか。
僕はあっという間に中腹の高城城址で到達していた。